「かむ力が弱くなってきた親に、毎日何を食べさせればいいのか分からない」
「介護食の宅配を頼みたいけれど、どこの業者がいいのか分からない」
介護の現場で、ご家族からよくお聞きしてきた悩みです。
先に結論をお伝えします。
介護食の宅配弁当は、①かむ力・飲み込む力 → ②持病の制限 → ③続けやすさの順番で絞れば、失敗がぐっと減ります。
私は介護福祉士として15年以上、介護の現場でご利用者の「食べる」場面に関わってきました。
この記事では、現場の実感と介護食品の共通規格(ユニバーサルデザインフード区分)をもとに、選び方から具体的なおすすめサービスまでを解説します。
その前に|「毎日届く配食」と「冷凍宅配」は別モノです
最初に、多くの方が混同しているポイントをひとつ。
宅配の食事サービスには、大きく2つのタイプがあります。
| タイプ | 特徴 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 毎日届く配食サービス | 決まった時間に手渡し・温かい・安否確認を兼ねる・地域限定 | 一人暮らしで見守りも欲しい |
| 冷凍宅配(この記事のメイン) | まとめて届く・全国OK・やわらか食や制限食の種類が豊富・好きなときに食べられる | 家族と同居/自分のペースで食べたい |
毎日型の配食は、お住まいの地域の事業者やコープ、自治体の配食サービス(助成がある市区町村も)が担当エリアです。「毎日届けてほしい・見守りも欲しい」方は、地域包括支援センターかケアマネジャーに聞くのが近道です。
この記事では、全国どこでも頼めて、やわらかさの選択肢が豊富な「冷凍宅配」を紹介していきます。
介護食の宅配弁当の選び方【3ステップ】

ステップ①:かむ力・飲み込む力に合わせる——いちばん大切です
介護食選びでいちばん間違えやすいのが「かたさ選び」です。
目安になるのが、食品メーカーなどでつくる業界団体・日本介護食品協議会が定めるユニバーサルデザインフード(UDF)の4区分です。介護食品を選ぶときの、業界共通のモノサシになっています。
かむ力の目安は、次のとおりです。
- 容易にかめる……かたいものや大きいものは、やや食べづらい
- 歯ぐきでつぶせる……かたいものや大きいものは食べづらい
- 舌でつぶせる……細かくてやわらかければ食べられる
- かまなくてよい……固形物は小さくても食べづらい
(出典:日本介護食品協議会「わかるユニバーサルデザインフード」)https://www.udf.jp/consumers/
現場からのアドバイスをひとつ。
迷ったら、お試しはまず「1段やわらかめ」から。かたすぎる食事は、むせ・食べ残し・食事嫌いの原因になります。
ただし、必要以上にやわらかい食事を続けると、かむ力そのものが落ちてしまうこともあります。「1段やわらかめ」はあくまでお試しの入り口として、続けるかたさは、かかりつけ医やケアマネジャー、管理栄養士と相談しながら決めるのが安心です。
食事中にむせが増えた、食べる量が減った、体重が減ってきた——そんなサインがあるときも、自己判断せず相談してください。
食が細くなった高齢者は、気づかないうちに低栄養(フレイルの入り口)になりやすいことが、厚生労働省の情報でも指摘されています。「やわらかくて、しっかり栄養が取れる」は、それ自体が立派な介護です。
(出典:厚生労働省 健康日本21アクション支援システム(e-ヘルスネット)「高齢者の低栄養予防」)https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/food/e-02-014.html
ステップ②:持病の制限に合わせる
糖尿病・腎臓病・高血圧などで食事制限がある場合は、制限食対応のサービスを選びます(塩分制限・たんぱく質制限・糖質制限など)。
ここで大切な注意をひとつ。
制限の内容は、必ず医師や管理栄養士の指示に合わせてください。「なんとなく塩分控えめ」の自己判断は、かえって食事量が減って低栄養を招くことがあります。
ステップ③:「続けやすさ」で選ぶ——価格・冷凍庫・そして「飽き」
最後は、続けやすさです。チェックするのは4つ。
- 1食あたりの価格+送料(送料無料の条件はサービスごとに違います)
- 冷凍庫の空き(7食セットでも意外とかさばります)
- メニューの数——実際によく聞く挫折理由の代表が「同じメニューで飽きた」です
- お試しセットの有無——味の好みは、食べてみないと分かりません
以上の3ステップを判断基準にしてみてください。
タイプ別おすすめ①【やわらか食・ムース食】かむ力が心配な方に
ここまで、宅配弁当の選び方について見てきました。
「選び方は分かったけど、どこの宅配業者に頼めばいいかわからない」という方も多いと思います。
ここからは、具体的に宅配業者の特徴を見ていきましょう。
「やわらかダイニング」——やわらかさ3段階で「ちょうどいい」が見つかる
やわらか食専門の冷凍宅配です。
最大の特徴は、やわらかさを3段階から選べること。
- ほどよくやわらか(箸ですっと切れる)……都度購入7食5,508円(税込)〜
- かなりやわらか(歯ぐきでつぶせる程度)……7食6,156円(税込)〜
- ムースやわらか(舌でつぶせる程度)……7食6,156円(税込)〜
「どの段階か迷う」方向けに、2つのやわらかさを食べ比べできるお試しセット(初回送料無料)があるのが、いちばんの推しポイントです。かたさ選びの失敗を、お試しで防げます。
「メディカルフードサービス」(MFS)——病院・施設で使われる本格派
病院や介護施設300か所以上に食事を提供している、医療・介護食の専門メーカー系サービスです。
やわらか食は独自製法の「凍結含浸法」で、見た目は普通の料理のまま、箸で崩せるやわらかさにしているのが特徴。
「ミキサー食っぽい見た目だと食欲が出ない方」に向いています。
やわらか食はお試し6食5,594円(税込・送料込み)、舌でつぶせる程度のムース食はお試し6食4,688円(税込)です。
\見た目そのまま、やわらかさ本格派/
「食楽膳」(SOMPOケアフーズ)——ソフト・ムース・ピューレまで段階が細かい
介護大手SOMPOグループの冷凍宅配。
ふつう食からソフト(歯ぐきでかめる)・ムース(舌でつぶせる)・ピューレ(かまずに飲み込める)まで、食形態の段階がきめ細かいのが特徴です。
ムースのセットは7日分5,490円(税込)〜、送料は本州800円。かむ力の低下が進んできた方の受け皿になります。
タイプ別おすすめ②【制限食】持病の食事管理に
「タイヘイ」 ファミリーセット——UDF認定の「舌でつぶせる」ムースがある老舗
昭和47年から続く宅配健康食の老舗です。
介護食では、ソフト御膳(ムース)がUDF「舌でつぶせる」の認定商品——この記事で紹介する中で、UDF認定を明示している貴重な存在です(1食745円・税込〜)
専門医監修の制限食コースも豊富で、5,400円以上の注文で送料無料になります。
\UDF認定のムース食がある老舗/
「メディミール」——管理栄養士チームの制限食+ムースやわらか食
介護福祉施設を運営する会社が作る制限食宅配です。
塩分・たんぱく・糖質などの制限食に加えてムースやわらか食もあり、「制限食×やわらか」の両にらみができます。
初回は最安の「バランス健康食」なら7食4,622円(税込)・送料無料で試せます(制限食コースは7食5,270円〜)。
「Dr.つるかめキッチン」——専門医×管理栄養士のダブル監修
糖質・塩分・たんぱく&塩分・カロリーの制限食を、専門医と管理栄養士のダブル監修で作っているサービスです。
定期コースは割引価格(例:カロリー制限7食5,184円・税込)で送料無料、回数縛りなし。
ひとつ注意——
やわらか食・ムース食はありません。かむ力に心配がない方の「持病の食事管理」向けです。
タイプ別おすすめ③【まずは手軽に】かむ力に大きな心配がない方に
「ワタミの宅食ダイレクト」——大手の安心感、介護食カテゴリもあり
冷凍おかず宅配の大手。
通常メニューに加えて、やわらかおかず・ムース食の介護食カテゴリがあります。やわらかおかずは7食セット5,040円(税込・送料別)、ムース食は7食セット4,901円(税込・送料別)。
ムース食はUDF「舌でつぶせる」に適合するかたさ。知名度のあるサービスから始めたい方に。
健康直球便——1食500円台からの低価格帯
やわらか食・ムース食・各種制限食を、10食5,780円〜6,780円(税込・沖縄以外は送料無料)の低価格で提供。
1食あたり578円〜と、今回紹介する中で最安クラスです。「まず価格重視で続けたい」方の選択肢になります。
現場からのアドバイス|「飽きる」問題は2社の併用で解決できます
介護現場でご家族からよく聞くのが、このような声です。
「せっかく頼んだのに、同じメニューばかりで飽きたって食べなくなっちゃって」
続かなければ、栄養も途切れます。私のおすすめは、最初から1社に決めず、お試しセットを2社頼んで食べ比べること。そして気に入った2社を交互に頼んでローテーションする方法です。
メニューの幅が単純に2倍になるので、飽きがきにくくなります。冷凍宅配は定期縛りのないサービスが多く、この使い方が現実的にできます。
そして最後の判断基準は、数字でも成分表でもなく、ご本人が「おいしい」と言うかどうか。
食事は毎日の楽しみです。ここだけは、実際に食べてもらわないと分かりません。
よくある質問
Q. 宅配弁当に介護保険は使えますか?
介護保険の対象外です(全額自費)
ただし、市区町村によっては配食サービスの助成制度があります。「お住まいの自治体名+配食サービス」で検索するか、地域包括支援センターに確認してみてください。
Q. お試しセットだけ頼んで、やめてもいいのでしょうか?
まったく問題ありません。
むしろ、味とやわらかさの相性は食べてみないと分からないので、お試しから始めるのが正解です。
Q. スーパーやドラッグストアのレトルト介護食とはどう使い分ければいい?
レトルト介護食(UDFマーク付きの市販品)は、1品単位で買える手軽さが魅力です。
宅配弁当は1食分の栄養バランスがまとまっているのが強み。ふだんは宅配弁当、外出時や品数の追加にレトルト、という併用が現場でも多いパターンです。
まとめ:かむ力→制限→続けやすさ、の順で選べば迷わない
ここまで宅配弁当の選び方、おすすめをご紹介してきました。
- ①かむ力・飲み込む力→②持病の制限→③続けやすさが選び方の3ステップ
- タイプ別で宅配弁当業者を探してみる
- 「飽きる」対策はお試し2社→気に入った2社でローテーション
まずは、気になった1〜2社のお試しセットから始めてみてください。「おいしい」のひと言が聞けたサービスが、そのご家庭の正解です。
この記事が宅配弁当選びのきっかけになれば幸いです。
※料金・送料は2026年7月時点の情報です。変更される場合があるため、最新の情報は各公式サイトでご確認ください。
※むせ・体重減少など気になるサインがあるときは、かかりつけ医・ケアマネジャー・管理栄養士にご相談ください。

