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親の介護は何から始める?最初にやること5つ|現場歴15年の介護福祉士が解説

介護のはじめ方

「親の介護が必要になれば、まずどこに相談したらいいですか?」

介護の仕事をして15年以上、ご家族からいちばん多く受けてきた質問です。

親の介護は、ある日突然始まります。
入退院の連絡、転んだという電話、もの忘れの心配。心の準備ができてから始まる介護は、ほとんどありません。

「最初にどこに相談すればいいか?」に対しての答えですが——迷ったら、地域包括支援センターに相談してください。

そして、やることはたった5つです。
順番どおりに進めれば、遠回りせずにサービスの利用までたどり着けます。

私は介護福祉士として現場に立ち、デイサービスの管理者や相談員を経て、いまは介護タクシーの運営をしています。
この記事では、最初にやること5つの順番と、現場で見てきたつまずきポイントをあわせてお伝えします。

読み終えるころには、親の介護が始まった時になにをすればいいかが分かり、少し肩の力が抜けているはずです。

親の介護は何から始める?やること5つの全体像

親の介護で最初にやること5つのステップ図。ステップ1は地域包括支援センターに相談する(高齢者の相談窓口・無料)。ステップ2は要介護認定を申請する(通知まで原則30日以内)。ステップ3は認定調査を受ける(ここは家族が同席)。ステップ4はケアマネジャーがケアプランを作る(要支援は包括が伴走)。ステップ5はサービスを使い始める(認定後に開始・暫定も可)。大事なのは順番を飛ばさないことで、退院が見えてきたら家に帰る前から申請の相談を

先に全体像からお伝えします。親の介護は、基本的にこの順番で進みます。

  1. 地域包括支援センターに相談する
  2. 要介護認定を申請する(通知まで原則30日以内)
  3. 認定調査を受ける(家族が同席する方が望ましい)
  4. ケアマネジャーがケアプランを作る
  5. サービスを使い始める

大事なのは、順番を飛ばさないことです。
現場では、いきなりステップ5から始めようとして立ち止まってしまうご家族をたくさん見てきました。

ひとつずつ、確認していきましょう。

ステップ①地域包括支援センターに相談する

高齢夫婦がケアマネに相談している様子

最初の行き先は、病院でも介護施設でもなく、地域包括支援センターです。

地域包括支援センターは、お住まいの地域にある高齢者の暮らし全般の相談窓口です。
介護の困りごとを無料で相談でき、この後のステップ(認定の申請やサービス探し)への道案内をしてくれます。

現場でよく見てきたつまずきが、まさにここにあります。
相談先を知らないまま、自分でデイサービスなどの施設を探し始めてしまうご家族が多いです。

気持ちはよく分かります。
ただ、介護保険のサービスは要介護認定を受けてから使うのが基本の流れ。先に施設を探しても、多くの場合は二度手間になってしまいます。

探し方は簡単です。「お住まいの市区町村名+地域包括支援センター」で検索するか、市区町村の窓口で聞けば教えてもらえます。

窓口が分かったら、次は介護保険の入り口である認定の申請です。

ステップ②要介護認定を申請する|通知まで原則30日かかる

介護保険のサービスを使うには、まずお住まいの市区町村の窓口で要介護認定の申請をします。
申請の仕方は、地域包括支援センターに相談すれば案内してもらえます。

ここで、知っておいてほしい大切な話です。
申請から認定の通知までは、原則30日以内とされています。つまり、約1か月かかるということです。

この1か月という期間が、ご家族がいちばん悔やまれるポイントでした。介護タクシーで退院や転院の送迎をしていると、ご家族からこんな声をよく聞きます。

「もっと早く、要介護認定を受けておけばよかった」

退院してから申請すると、認定が出るまでの約1か月、介護保険のサービスが整わない期間ができてしまうのです。介護する側にとって、いちばん大変な時期にです。

そのため、退院が見えてきたら、家に帰る前から申請の相談を始めてください。
申請は、退院後と決まっているわけではありません。

入院中から、病院の相談員(医療ソーシャルワーカー)や市区町村の窓口に相談できます。この一歩の早さが、最初の1か月の景色を変えます。

申請をすると、次は「認定調査」がやってきます。

ステップ③認定調査には家族が同席する

高齢女性と息子が調査員の聞き取りに答えている写真

申請後は、市区町村の職員などが訪問して、心身の状況の聞き取り調査(認定調査)を行います。

あわせて、かかりつけ医が主治医意見書を作成し、審査を経て要介護度(要支援1・2〜要介護1〜5の7段階、または非該当)が決まります。

もし非該当だったとしても、市区町村が行う地域支援事業などで使えるサービスがある場合があり、相談先はやはり包括です。

ここで、現場歴15年の私からお伝えしたいことがあります。
それは、「認定調査には、必ずご家族が同席してください」

理由ははっきりしています。
認定調査でご本人は、日頃できにくいことでも「できます」と答えてしまうからです。

しっかりしているところを見せたい気持ちは、自然なことです。でもその結果、実際より認定が軽く出てしまうことが起こります。

ご家族が同席していれば、「日頃はこういうことに困っています」「これができにくいです」と、細かく伝えられます。
ご本人の現状に見合った認定につながるように、暮らしの実情を知っている人の言葉を、調査の場に届けてください。

同席する際は、事前に困りごとをメモにしておくことが大切です。
日常生活で困っていること、行いにくいことなど——その場で思い出そうとすると必ず抜けてしまいます。

ステップ④ケアマネジャーがケアプランを作る

認定が出たら、ケアプラン作成です(認定が出る前に、暫定でケアプランを作成することもあります)

要介護度が決まったら、どんなサービスを、どれだけ使うかの計画書(ケアプラン)を、ケアマネジャーが作ってくれます。

作成の依頼先は、認定結果で分かれます。
要支援1・2なら地域包括支援センター——最初に相談した窓口が、そのまま伴走してくれる形です。

要介護1以上なら、ケアマネジャーのいる居宅介護支援事業者に依頼します。
包括で相談すると案内してもらえます。

ご家族とご本人がやることは、難しい制度の勉強ではありません。
どんな暮らしを続けたいかをケアマネジャーに伝えることです。

「週に2回はお風呂に入りたい」「通院だけが心配」——その言葉が、ケアプランを作成する上で非常に重要になります。

計画ができたら、いよいよサービスの利用が始まります。

ステップ⑤サービスを使い始める|困りごと別の頼り先

サービスの利用開始は、認定が下りて、ケアプランができてからが基本の流れです。

(なお、お急ぎの場合は、認定の結果を待たずに、申請の段階からサービスの利用を始める方法もあります。要介護認定の効力は、申請日にさかのぼる決まりだからです。ただし、見込みより軽い認定や非該当だった場合は自己負担が発生することがあるので、必ず包括やケアマネジャーに相談したうえで進めてください。)

そして、サービスが始まってからの「困った」は、場面ごとにこのブログで詳しく解説しています。必要なところからどうぞ。

そして、サービスを使い始める前後で必ず気になるのがお金の見通しです。介護費用の平均と見積もり方は、こちらの記事にまとめてあります。

介護費用の平均はいくら?月9.0万円・総額540万円の内訳と目安
介護費用の平均は月9.0万円・総額約540万円【2024年度最新調査】。在宅5.3万円と施設13.8万円では総額に約467万円の差が出ます。 介護福祉士15年×FP3級が、わが家の介護費用を見積もる3ステップと、負担を軽くする公的制度までやさしく解説します。

介護の現場から|「まず包括へ」と言い続けてきた理由

車いすの高齢女性が笑っている写真

「親の介護が必要になれば、まずどこに相談したらいいですか?」——この質問の裏には、いつも不安があります。

何をすればいいか分からない。誰に聞けばいいかも分からない。親のことなのに、何も知らない自分を責めてしまう。そんなご家族を、私は現場で15年間見てきました。

私の答えは、いつも同じです。「まずは、地域包括支援センターに相談してください」

窓口に行けば、介護はひとりで抱えるものではなくなります。
認定の申請も、ケアマネジャー探しも、プロが道案内してくれます。

ご家族の仕事は、全部を自分で調べることではなく、最初のドアをノックすることです。

介護の始まりに、完璧な準備をして臨めた人を、私は見たことがありません。みんな手探りで始めて、それでもちゃんと形になっていきます。大丈夫です。

まとめ|親の介護は「相談→申請→調査→計画→利用」の順番で

最後に、5つのステップをもう一度整理します。

  1. 地域包括支援センターに相談……自分で施設を探し始める前に、まず窓口へ
  2. 要介護認定を申請……通知まで原則30日以内。退院が見えたら、家に帰る前から相談を
  3. 認定調査に家族が同席……本人は「できます」と答えがち。日頃の困りごとをこと細かに伝える
  4. ケアマネジャーがケアプランを作る……要支援なら包括がそのまま伴走。伝えるのは「どんな暮らしを続けたいか」
  5. サービス利用開始……基本は認定が下りてケアプランができてから(急ぐときは暫定利用も包括に相談を)

今日やることは、ひとつだけです。「お住まいの市区町村名+地域包括支援センター」で検索して、場所と電話番号をメモしてください。

その小さな一歩が、介護のいちばん長い遠回りを防いでくれます。


出典

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