「遠方に住んでいて、親の通院にどうしても付き添えない」
「近くに住んでいても、息子や娘は忙しいから毎回は頼みづらくて……」
今まで働いてきた介護施設や介護タクシーの現場で、ご本人やご家族からよく聞く悩みです。
距離の問題だけでなく、近くに家族がいても「気を使って頼めない」という声も少なくありません。
そういった場合にどこに頼めばいいか。
まずは「院内まで付き添いが必要か」と「要介護認定があるか」を判断軸にし、どこに頼むかを決めていきます。
私は介護福祉士として15年以上介護現場で勤務し、現在は兵庫県明石市で介護タクシー「ひだまりサポート」を運営しています。4つの頼み先の違いと料金の目安を解説します。
結論|通院付き添いの頼み先は4つ

通院の付き添いの頼み先には大きく4つあります。
条件や費用の目安を以下の表にまとめてみました。
| 頼み先 | 院内の付き添い | 要介護認定 | 費用の目安 |
|---|---|---|---|
| ①訪問介護(通院等乗降介助) | 条件つき | 必要(要介護1〜) | 1割負担で片道100円前後+タクシー運賃 |
| ②介護タクシーの付き添い | 事業者による | 不要 | 介護タクシー運賃+介助料(事業者ごと) |
| ③自費ヘルパー(保険外サービス) | 診察室まで相談できる | 不要 | 1時間3,000円台〜で1回2時間からの利用 |
| ④自治体・社協のサービス | サービスによる | 条件あり | 低額(地域による) |
ひとつずつ、詳しく見ていきましょう。
大前提|「院内の付き添い」と介護保険の関係は”条件つき”です
まず、いちばん誤解が多いポイントから。
「介護保険のヘルパーさんに、院内の付き添いも全部頼める」——これは半分正しく、半分誤解があります。とはいえ、「院内は介護保険では無理」というわけではありません。
国の通知では、院内の介助は基本的には病院のスタッフが対応するものとされています。
ただし、①ケアマネジャーによる適切なケアマネジメントを経て、②病院スタッフによる対応が難しく、③ご本人の心身の状態から介助が必要——といった条件を満たす場合には、介護保険の対象と認められることがあります。認められるかどうかは、お住まいの市町村の判断です。
(出典:厚生労働省 事務連絡「訪問介護における院内介助の取扱いについて」平成22年4月28日・介護保険最新情報Vol.149) https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r985200000063e0-img/2r985200000063fi.pdf
そしてもうひとつ、大切なこと。
訪問介護はケアプランに基づいて計画的に提供されるサービスです。そのため「明日の通院の付き添いをお願いしたい」などの急な対応には難しいことが多いです。
まとめると——
- 定期的な通院で、条件が合えば → 介護保険が使える可能性あり(ケアマネジャーに相談)
- 急な通院や、診察室で先生の話を聞いてメモしてほしいなどの柔軟な頼みごと → 保険外サービスが現実的
制度の取り扱いは市町村や状況によって異なります。必ず担当のケアマネジャーか、お住まいの市町村窓口に確認してください。
頼み先①:訪問介護の「通院等乗降介助」——要介護認定がある方の基本
それでは、ここから具体的に4つの頼み先について見ていきます。
まず1つめは、訪問介護の「通院等乗降介助」
介護保険で通院を支えるサービスです。ヘルパー資格を持つ職員が、乗り降りの介助・乗車前後の移動の介助・受診の手続きまでを一連で行います。
料金は1回(片道)97単位、1割負担なら片道100円前後・往復200円前後が目安です。ただし、タクシー運賃は別途実費でかかります(介助部分だけが保険の対象です)。
(出典:厚生労働省「令和6年度介護報酬改定 介護報酬の算定構造」) https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001195509.pdf
利用には事前にケアプランへの位置付けが必要で、対象は要介護1以上の方です。
頼み先②:介護タクシーの付き添い——移動ごと任せたい方に
頼み先2つ目は、介護タクシーです。
要介護認定の有無に関係なく、急な依頼に対応できる事業者もある点が特徴です。
送迎+乗り降りの介助に加えて、受付や会計のサポート、院内の待ち時間の付き添いまで対応する事業者もあります。対応範囲が事業者によって違うので、事前に電話で問い合わせることをおすすめします。
私が介護施設の現場で働いていたころ、ご家族が付き添えなくて困っている場面を何度も見てきました。そういった場面を見てきたからこそ、「ご家族の代わりに移動や付き添いで困っている人を助けたい」——それが、私が付き添いのサービスを始めた理由です。
ひだまりサポートでは受付から薬の受け取りまで、通院を一貫してサポートしています。サービス内容や料金等、詳しくはひだまりサポートのホームページをご覧ください。
頼み先③:自費ヘルパー(保険外サービス)——院内も診察室も付き添い可能
頼み先3つ目は自費ヘルパーです。
自費ヘルパーはこのような場合に便利なサービスです。
- 要介護認定はまだない
- 診察室まで一緒に入って、先生の話を聞いてほしい
- 急に決まった通院に来てほしい
そんな介護保険制度の枠に収まらない頼みごとに応えられるのが、保険外の自費ヘルパーです。
大手のイチロウでは、通院の行き帰りの介助から診察内容の聞き取りやタクシーの手配まで対応しています。
料金は地域やプランによって異なりますが、目安は1時間3,000円台〜で、1回2時間からの利用が基本です(2026年7月時点・対応エリアや最新の料金はイチロウ公式サイトでご確認ください)
「1時間3,000円以上は高い」と感じるかもしれません。
ただ、このような見方もできます。ご家族が仕事を休んで付き添う場合の収入減や交通費と比較した際に、仕事を休んだ場合の方が支出が大きくなることも少なくありません。
そう考えてみると、「どうしても行けない日だけ」の使い分けなら現実的な選択肢になるのではないでしょうか。
\通院・院内の付き添いまで頼みたいなら/
頼み先④:自治体・社協のサービス——費用を抑えたい方の選択肢
お住まいの地域によっては、自治体や社会福祉協議会、NPOによる低額の外出支援があります。
名称は「移送サービス」「外出支援サービス」「福祉有償運送」などさまざまで、たとえば1kmあたり数十円+時間料金、という地域もあります。
ただし、対象条件(要介護度・世帯状況など)や会員登録が必要だったり、予約が取りづらかったりと、サービス対象者は限定的です。
「お住まいの自治体名+通院支援」で検索するか、地域包括支援センターに問い合わせてみてください。
現場からのアドバイス|「目的」で選べば迷いません

4つも選択肢があると迷いそうですが、使い分けはシンプルです。
- 定期通院×要介護認定あり → ①訪問介護の「通院等乗降介助」をケアマネに相談
- 送迎の介助も必要 → ②介護タクシー
- 院内や診察室までしっかり → ③自費ヘルパー
- 費用最優先 → ④自治体・社協のサービス
家族以外の頼り先を事前に1つでも見つけておくと、いざというときに慌てず対応することができます。
緊急の場合に備えて、選択肢を考えておくことをおすすめします。
まとめ:通院付き添いの頼み先は4つ。迷ったらケアマネジャーか地域包括へ
最後に記事の要点を、頼み先ごとにまとめます。
- ①通院等乗降介助……要介護1以上・低額・ただし事前のケアプランが必要
- ②介護タクシー……認定不要・送迎も必要な場合・範囲は電話で確認
- ③自費ヘルパー……自由度が高い・院内、診察室まで対応
- ④自治体・社協……低額・条件と空きを要確認
「家族が行けないから、通院をあきらめる」「仕事で親の付き添いができなくなったから、通院はまた今度」——そういったご家族を多く見てきました。
ただ、それは家族が付き添う以外の選択肢を知らない方が多いからだと感じています。
この記事が、通院の付き添いで困っている方のお悩みを少しでも解消できれば嬉しいです。
※料金・制度は2026年7月時点の情報です。介護保険の取り扱いは市町村により異なるため、詳しくは担当ケアマネジャーまたはお住まいの市町村窓口にご確認ください。
